
『天神さん』として親しまれる北野天満宮のご祭神『菅原道真(すがわらのみちざね)』は、大変優れた才能により右大臣にまで上り詰めた人物です。
道真が生前優れた学者、歌人であったことから、江戸時代以降寺子屋の普及とともに、『学問の神様』として広く信仰されるようになりました。
そんな道真公を祀る北野天満宮には、たくさんの牛の像があります。
今回の記事には、牛の像がある理由・赤目の牛の理由について書きました。
『北野天満宮の境内に牛は何頭いるの?』という疑問にも実際の参拝をもとにお答えします。
また、北野天満宮の撫で牛を抜粋して、写真付きで紹介します!
北野天満宮に牛の像がある理由
(2019年7月27日撮影)
北野天満宮の境内には牛の像が数多く見られます。
その理由は、北野天満宮において牛が神使であるとされているからです。
牛が神使である理由ですが…
1、道真公が丑年生まれであった
2、道真公が亡くなったのが丑の月の丑の日
3、道真公が農耕の神ともされることから、そのシンボルとされる牛が選ばれた
4、道真公の神号である「天満大自在天神」の「大自在天」は、仏教において白い牛に跨った姿で描かれている
5、道真公が牛を飼い、大切に育てていた
6、道真公が刺客に命を狙われた際、何処からともなく牛が飛び出して命を救った
以上の様々な諸説があり、はっきりとはされていません。
しかし、何れにしても道真公と牛には深い関わりがあることが理解できます。
ちなみに、境内にある牛の像は、その大きさや材質・表情などは様々で、同じものは一つとしてありません。
しかし、一つ共通していることがあります。
それはどの牛も横たわっているということ!
この横たわっている牛のことを『臥牛(がぎゅう)』と言います。
これにも理由があり…
延喜3年、太宰府にて生涯を閉じた道真公はある遺言を残します。
『人にひかせず、牛の行くところにとどめよ。』
その遺言通りに道真公のご遺骸(いがい)を牛車にて運んでいると、突然牛が座りこんで動かなくなったとのこと。
そのため、道真公は付近にあった安楽寺に埋葬されたそうですが…
北野天満宮の牛が横たわっているのは、この故事に由来しているのですね。
臥牛がたくさんいる北野天満宮…
しかし実際には、一つだけ横たわっていない牛(立ち牛)が存在します!
(2019年7月27日撮影)
その立ち牛は、拝殿の欄間(らんま)に刻まれています。
参拝した際は、ぜひ拝殿中央上の欄間に注目してみてください。
(2019年7月27日撮影)
豪華絢爛な装飾の中に刻まれているのは紛れもなく『立ち牛』
なぜ、こちらの牛だけ立っているのか…
その理由は不明らしく、『北野天満宮の七不思議』の一つとされています。
北野天満宮の牛のご利益
北野天満宮の牛への信仰は、現在では『撫牛信仰』として広がっています。
臥牛(がぎゅう)を撫でるとご利益を授かることができるとされているのです!
ご利益は主に2つ。
①『諸病平癒』
自分の体の悪い場所を撫でたあと、牛の同じ場所を撫でると、病気や怪我を治してくれる
②『学業成就』
牛の頭を撫でたあと、自分の頭を撫でると頭がよくなる
北野天満宮の牛の数は何頭?
北野天満宮には撫で牛がたくさんいることで有名です。
『十数頭いる。』との情報があったのですが、具体的な数の情報がなかったため気になりました。
そこで、実際に北野天満宮を参拝し、牛の数を数えてみることに!!
ただ、北野天満宮の牛は普段見ることが出来ないような場所にもいるそうです。
ですので、実際に参拝した折にはっきりと見ることのできる牛の数(牛の像)を数えることに。
エリア別に牛の数を紹介すると…
(2019年7月27日撮影)
一の鳥居から楼門まで⇒5頭
(2019年7月27日撮影)
楼門から三光門(さんこうもん)まで⇒5頭
(2019年7月27日撮影)
本殿周囲・その他⇒3頭
よって…
参拝時見ることのできる牛の像の数は、合計13頭という結果(2019年7月)になりました!
(手水舎の臥牛含む・拝殿の立ち牛は含めず)
ちなみに、牛の数は今後奉納されるとさらに増える可能性もありますのであしからず…。
赤目の牛の理由
(2019年7月27日撮影)
北野天満宮には、様々な臥牛(がぎゅう)が鎮座しています。
その中でもとっても印象的なのがこちらの赤目の牛。
楼門をくぐってすぐの場所に鎮座しています。
(2019年7月27日撮影)
こちらの牛の目が赤い理由ですが、『道真公への忠義心』によるものとの説があります。
道真公のお供であった牛が、瞬きもせず一心に道真公を待つあまり、目が真っ赤になってしまったと言い伝えられています。
その他には『参拝客の願いを徹夜で聞いてくれるから』といった説もあるとのこと。
ちなみに、こちらの赤目の牛は、徹夜で勉学に励む受験生にも人気だそうです。
『目をさわると頭が良くなる』とのうわさもあるそうです。
北野天満宮の牛を紹介
赤目の牛の他にも、北野天満宮には個性的な牛がたくさん!
私が参拝した時に、拝見した牛の中から抜粋して紹介します。
◆子牛と一緒の母牛像◆
(2019年7月27日撮影)
一の鳥居から楼門に行くまでの参道に鎮座しています。
道真公の母を祀る、末社『伴氏社(ともうじしゃ)』のすぐ横です。
そのことが理由であるかは不明ですが、こちらの牛は子牛を伴った母牛です。
作られた年代が古いのか、少々劣化が見られますが、親子のあたたかさを感じる撫で牛です。
◆大きな目と角が印象的な牛◆
(2019年7月27日撮影)
楼門にかなり近い位置に鎮座しています。
大きな目と角が印象的で、大きめの撫で牛です。
ちなみに、参道を挟んだ向かい側には…こちらの牛がいますよ。
(2019年7月27日撮影)
こちらの撫で牛も子牛を伴った母牛像。
親子共にキリッとしたお顔が印象的。
背中のコブを撫でる参拝客が多いのでしょうか…。
コブの部分だけ塗装が禿げてつるつるになっています。
◆真っ黒な牛◆
(2019年7月27日撮影)
重要文化財である『三光門(さんこうもん)』の近くに鎮座する撫で牛。
黒光りし、つるつるとしています。
丸目のフォルムもどこか愛嬌を感じます。
◆天然石のような牛◆
(2019年7月27日撮影)
先ほどの黒牛の向かいに鎮座しています。
まるで、天然石をそのまま削り出したかのようですね。
石の模様の方が印象的で、一見『牛』には見えないかもしれません。
◆手水舎の牛◆
(2019年7月27日撮影)
北野天満宮には、手水舎が二箇所ありますが、こちらは東門近くの手水舎の牛。
ちょこんと台座に乗っているのですが…
まるでイラストのような可愛いらしい牛に、ほっこりしてしまいます。
◆一願成就の牛◆
(2019年7月27日撮影)
こちらの鳥居をくぐると、『一願成就のお牛』を祀る牛舎があります。
(2019年7月27日撮影)
こちらは北野天満宮で最も古い撫で牛。
この撫で牛が祀られているのは、天満宮の乾(いぬい)と言われ古くからの聖地にあたり…
一願成就の特別なご利益を得られるととても人気があります。
四方からお参りできるので、受験シーズンは多くの学生に囲まれています。
(2019年7月27日撮影)
背後にある絵馬掛け所には、毎年10万枚もの絵馬が掛けられるとのこと。
『合格祈願』を願う絵馬もたくさんありました!
ちなみに私も学生の時、北野天満宮で『合格祈願』をし…
見事第一志望校に合格できましたよ!
願いが叶ったあかつきには、お礼参りも忘れないようにしましょうね。
北野天満宮へのアクセス
正式名称 | 北野天満宮 |
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所在地 | 京都市上京区馬喰町 北野天満宮社務所 |
電話番号 | 075-461-0005 |
休日・休館 | 無休 |
楼門の開閉時間 | 4月~9月 5時~18時 10月~3月 5時30分~17時30分 *もみじ苑ライトアップ期間や正月等は夜間も開門 |
社務所・授与所 受付時間 | 9時~17時 (もみじ苑ライトアップ期間中は、9時~20時) |
祈祷受付時間 | 9時~16時30分 受付場所 本殿前受付「授与所」 |
交通 | 京福電車『北野白梅町駅』より徒歩5分
市バス『北野天満宮前』下車すぐ |
駐車場 | あり ※毎月25日は、縁日のため利用できない。 |
北野天満宮の『牛』に関するまとめ
(2019年7月27日撮影)
北野天満宮では、『牛』が神使とされているため、境内のあちこちに牛の像が見られます。
撫でると、『諸病平癒』『学業成就』のご利益があるとされており、撫で牛として信仰されています。
一般の方が見ることのできる北野天満宮境内の牛を実際に数えてみたところ、13頭という結果になりました。
しかし、牛が奉納されたものであることを考えると今後増える可能性もあります。
境内に鎮座する牛は、赤目の牛や一願成就のご利益があるとされる牛・・・など様々。
また牛は、臥牛(がぎゅう)がほとんどですが、拝殿の欄間のみ『立ち牛』が存在します!
ぜひ北野天満宮に参拝し、お気に入りの牛を見つけてみて下さいね!